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沸騰

090516amago1.jpg

ビシッ。

視界の端で水しぶきが上がった。
ひとつ上の大場所ポイント最後部、大岩の横の流芯。
そちらに向き直ると、再び小さな、しかし鋭い水しぶき。

例のヤツだ。
昨秋の禁漁前の最後の釣りの苦い記憶が甦る。
あのときはこのライズを取れなかった。
まさに同じこの渓、同じ傾向のシブいスプラッシュ・ライズ。
水面直下のものを食うときにできる、特有のライズ。
まるでデジャ・ヴを視ているような感じで、昨秋の光景が目の前をよぎる。このライズに手も足も出なかった。

しかし。今日は、昨秋の借りを返しに、この渓に来たのだ。

春だからもう少しサカナが大らかだろうと楽観的な希望をまずは優先して、結んでいたフライをそのままキャストしてみる。#12エルクヘア・カディス。パラシュートで反応が悪い時でも、カディスはその使い方によってメイフライの代用ができ、しかも反応が良いから、もっぱらこれを使っている。
夕マヅメというにはまだ早い明るい時間だけど、メイフライ(メインははおそらくヒラタカゲロウ類とコカゲロウ類、クリームからライトオリーヴのボディに透明またはグレーのウィングを持つきれいなメイフライたちだ)の羽化が活発になってきている。このカディスで色もサイズも合っているし、北陸のたいていの渓ではこれでよく釣れるんだ。

しかし・・・予想通り、というか、イヤな予感(あるいは確信)は的中して、完全な無視。フライを流した後の、同じレーンでまたもやビシッとスプラッシュ。
馬鹿にされているようだ。
頭に来て、再びキャスト。ドンピシャのレーンに乗せ、水面に絡めつつ妖しくドリフトさせる。いつもならこれで出る。
が、出ない。通り過ぎた後に、再びライズ。

こいつはスレっからしなのかもしれない、他にライズはないかと視界を広げてみると、あるある。
同じポイント、少し上の対岸の流芯で2つ3つ。しかし・・・同じスプラッシュ・ライズ。
でも今相手してるこいつよりはスレていないかもしれない、と淡い期待を抱きつつ、そちらへ目標を変更してプレゼンテーションを二度、三度・・・
「華麗にスルー」という言葉を思い出させる、完璧な無視だった。流れてるフライのすぐ脇で、あるいはすぐ上、あるいはほんの下で、フライなど目に入らぬかのごとく、悠然と水しぶきをあげてライズする。

借りを返しにきたつもりが、まったく同じ陥穽に落ちている・・・

そうだ、今日はこのテのライズを取る用にと、新しいフライを巻いたのを持ってきたのだった。
早春の解禁の釣りをよくやっていたときに使っていた、シブいライズを取るための必殺のフライ。それを渓流のフリーストーンを流せるように大きさやウィングのカタチをアレンジした、CDCのフローティング・ニンフ・パターン。

これに結び替えてさっきのライズにキャストしてみる。
少し手元が狂って、レーンが違ってしまった。
と、横っ飛びにサカナが飛び出してきた。
あ、と驚いているうちに合わせが遅れて取り損なったものの、これだ、という確信を得ることができた。

早速、ひとつ上のライズに狙いを定める。
ド流芯脇の複雑な流れで「バシッ!」と派手に水しぶきをあげてライズする、実に大胆不敵な、しかしスレっからしのシビアなライズだ。
フライがレーンに乗ると、いきなり出た。
スプラッシュ・ライズのフォームではないものの、素早いがエサだと安心しきって食う様子の、きれいなU字ターン。
すかさず合わせると、ドスンと乗った。

ここからが、本日の至福の時間の始まりだった。
ワンキャスト・ワンヒットで、最初が22cmぐらいから始まってキャストごとに(上流の流芯へ近づくごとに)大きくなり、このポイントで一番の流れからは25cmも飛び出した。

アマゴの表情このフライで最初に取ったアマゴ。
無念気な表情に感じるのは、やった!という感慨ゆえだろうか。さほど大きくはないが、納得の一匹だった。
きれいなアマゴこれは午前中にひとつ向こうの支流で出たアマゴ。とてもきれいなサカナ。まだまだ大きくなりそうだ。
くわえてるフライがエルクヘア・カディス。

アマゴ最初のよりひと廻り大きいアマゴ。全長が少し大きくなるだけで、体高と幅がぜんぜん違ってくる。
そしてこの不敵なツラ構え。
アマゴこれはさらにひと廻り。かなり筋肉質なアマゴだった。
ボク個人的にアマゴは女性形で捉えるのだけど
マッチョなおねいちゃんは好きでないのにマッチョなアマゴなら大好きというのはどうしたワケだろうw

フライとメイフライ水の表面張力を破れずにもがいていたダン。
広義の「イマージング(羽化途中)」にはこういうのも含まれると思う。
そしておそらく、ボクのフライはこの状態にマッチしていたと考えるのだ。
ヒットフライこれがそのフライ。
フローティング・ニンフ(イメージ的にはイマージング・ニンフ)、
つまり、水面膜をまたいで羽化してる途中のメイフライを表現したもの。
ボディがニンフ部分、ウィングのCDCがダン本体とウィングを表している。
これ一本で多くのサカナを釣ったのでもはや原形を留めてはいないし、
真下からのアングルなので詳細は分からないかな?^m^

アマゴあまりに釣ったので、いいサイズしか写真に撮らなくなった。
それでも、同じアマゴというサカナを撮るのだから、どうしても似たようなアングルになってしまう。
これはちょっと引きで撮ってみたが、冴えないな。
アマゴ
この写真になってくるともはや投げやり(笑 かなりいいサイズだったんだけどね・・・贅沢は敵だ!w
滅多にこんなに釣らないのだから、こういうときぐらい好きなこと言わせてね。
(いつも好きなこと言ってるじゃねーかというツッコミはナシ!)

ひたすら釣り続け、写真を撮り、CDCを洗って乾かして(このフライひとつしかないのだ)またキャスト、そしてヒット・・・
幾度繰り返しただろう。
ボクはこんなに浅ましい人間だったのか、と我ながら呆れかえるほどに、狂ったように釣りまくった。
いや・・・さほどに、昨秋の無惨な敗北の痛手が大きかったのだ、と言い訳しておこう。

今日は本当はイワナを釣るつもりだった。
仕事が滅茶苦茶にタテ混んでいて、何日も朝から夜中までPCに張りついてする日々。どうにもたまらずに無理矢理一日空けて飛び出してきたのだ。北陸のイワナと遊んでもらい、癒しをもらおうと・・・
ところが、今日のこの渓がボクに用意した答えはこれだった。
脳内にアドレナリンがドバドバ出るような、アマゴとの対峙。のんびりしたイワナと違って、ピンピンと機敏に泳ぐアマゴの釣りは「いざ、勝負!」というノリになってしまう。あまりにアドレナリンが出過ぎたのか、寝不足で出撃してきてお昼に2時間ほど仮眠をとっただけで、一日渓を歩き回って、それでもまだ体が動き、ついには転んでも痛いと感じなくなったほどだ。

明けて今日も、まだ少し変だ。
返しはきっと明日やってくるだろう。

なに、あれだけの時間を過ごしたのだから、少々の返しは覚悟しているさ。
さあ、今日のところはひと休み。
明日も頑張るよ!

090516donburi.jpg
最高の一日のシメは恒例中華。美味!

 


Comments:6

すとらいかぁ 09-05-16 (土) 21:53

今日の記事を読んで当方、興奮してしまいました。
疑似餌の場合、「マッチ ザ ハッチ」が一番難しいと思われ、それが当たると感激は倍増。
いやいや、25cmのアマゴって、嬉しいだろうなぁ。
春の渓流の雰囲気が伝わってきました。ありがとうございました。
ぅぁぁ、釣りに行きてぇぇぇw

107 09-05-18 (月) 1:32

どうすか、すとらいかぁさんもフライ再デビューを考えてみられては ( ´ー`)
マッチ・ザ・ハッチってのは、要は人間側の理屈にしかすぎないのではと思っています。
釣り人がそれで納得すればそれで幸せ、ってことでオケーなんですけど、しかし実際、サカナにとって何が捕食のトリガーになったかなんてことは、サカナに訊いてみないと分かんないですから。
でも、思うように釣れるととてもうれしいもんです。
こちらこそ有難うございます^^

JIMO 09-05-18 (月) 21:53

おっ!遊んできましたね。(笑)

107 09-05-19 (火) 2:09

うひひ!こってりとね(*´∀`)

みやび 09-05-20 (水) 0:23

ドライでの釣りの醍醐味だと思っています。
なかなか食ってくれないライズを狙う釣り。
まぁ、私の場合は「当り」を発見することが出来ずに惨敗ばかりで、川の中で「あぁ」とか「ふぅ」とか「これも駄目かぁ?」とかブツブツ言ってる姿は、傍目にはさぞ不気味に映るんだろうなぁw
狂ったように釣りまくるとか、一度経験してみたいもんですな

107 09-05-21 (木) 22:30

ホント、そうです。
食ってくれないからこそ面白いというか・・・
マゾヒスティックにひぃひぃ泣かされるのが喜びのひとつでもあるという・・・(笑
北陸は未だスレてないサカナが多くて、ゆえにたまにある狂い釣りです。
偏食も、プレッシャーというよりはサカナのわがままって感じなんですよ^^

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pingback from 107@BLOG · 静かな閉幕 10-07-06 (火) 19:45

[…] なにしろ昨年の最後の釣行は何年ぶりかのボウズを食らって、かなり落ち込んだものだ。しかしその悔しさあるゆえに、今春の沸騰や先日の至高の歓喜がある。いつでもなんでも釣れるというのなら何の面白みもなくもはや趣味や遊びとして成立しないものとなるだろう。 それに、そもそもボク個人の意識として、同じサカナを釣るのでも「釣れた」よりは「釣った」でありたいと考えているので、狙ったものが外れればそれはそれでボクの中では納得のいく結果となるのである。 […]

pingback from 107@BLOG · 雨の日曜日 10-07-07 (水) 22:47

[…] パッツンパッツンのグラマーなアマゴちゃん。すっかりオトナな表情とナイスバディなプロポーション、そしていつまでも大人しくしない反抗的な態度に惚れた。前回の贅沢な気分がまだそのまま残ってしまっているようで、大きさもそれなりにあってコンディションが抜群のホレボレするような魚体を持つものしか撮る気が起こらない。いい気なものだと自分でも思うのだけど(笑夕マヅメ前に取ったシブいライズの主。丸々と肥えた、いいイワナだった。それよりなにより、色模様がハッキリしていてとてもきれい。頭のてっぺんにまで至る虫食い模様は山陰のゴギを思い起こさせてくれる。 […]

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