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冬の静かな日。祖父の月命日。
久しぶりの、親父と一緒の墓参り。

剣木瓜の紋が刻まれた御影石の墓石をきれいに磨いて掃除し、全体に丁寧に水をかけて、花立に花を活ける。
線香を立て、祖父の好物だった煙草に火をつけて一服二服吸い、香炉の蝋燭立てに突き刺して、大福を供える。水鉢にはお茶をなみなみと注ぐ。
手を合わせて、しばし黙祷。いろいろと身勝手な願いを思い浮かべる。好き勝手に生きたお祖父さんなら「欲張りめ!」と怒らずに分かってくれるだろう、などと考えながら。

拝み終わったら、おもむろに大福を手に取って食べる。近頃はお供物を置いて帰るのは御法度らしい。冬はまだしも春夏にはハナムグリが寄ってくるなど、甲虫類の格好のエサになるものを。世知辛い世の中になったものだ。

墓石の前に親父とふたり、腰を下ろして大福をむしゃむしゃ食べながらお祖父さんの思い出話に花を咲かせる。子どものころ、毎日のように我が家に寄ってはボクの名前を呼んで膝の上に乗せて可愛がってくれたのを思い出す。インスタントの塩ラーメンが好きで、お昼にはいつもそれに生卵を落としたのをすすっていた。
枯れた、しかし、温かい膝だった。

しばらく墓前で過ごした後、立ち上がって別れを告げた。
「お祖父さん、また来るよ」
親父を嵯峨野の自宅に送った帰りの、いつも立ち寄る広沢の池の景色。

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「水揚げ」といって秋の終わりに鯉などを漁獲するための水抜きが行われ、冬の間はそのまま干潟のようになっている。この時季ばかりは、かの名歌のように月を映すことは叶わない。

池の北西岸、ちょろちょろと沢の水が流れ込むあたりがボクの好きな観音島。
行ってみると、いつもはほとんど人気もないのに今日はやたらと人がいる。
みな壮齢の、退職後の悠々自適な趣味に生きると見えるおじさんたちで、一様に椅子に腰かけて、なんだかご大層なデカい超望遠レンズを付けたカメラを三脚に立て、身動きひとつせずそこここで固まっている。ここには観音の石像と弁財天を祀る祠があるのだけど、それの数が増えたようなものだな、と思いながら、近寄って何を撮ろうとしているのかとカメラの向く先を目で追う。すると、沢の溜まりの上に突き出した枝に留まる、きれいな橙と青の羽毛の鳥が一羽。
カワセミだ。

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小魚を狙っているのだろう、溜まりを覗き込んで身構えている。
が、一向に飛び降りない。
いつまでもじっとしている。
おじさんたちも、じっとしている。
今日は風も吹かず、空気までじっとしている。

そのまま、時までが止まったような。
静かな凪。


Comments:11

小雅 09-01-21 (水) 6:57

何だかいい雰囲気やね。
しかし、広沢池の水を抜くなんてことは知らなかった。。。
大福を持って帰る話はご時世を実に感じさせるね。
・・・そのうち花も駄目になったりして。

futaba 09-01-21 (水) 8:36

広沢の鯉
ロウソク立てにタバコ!
はじめて見ましたが、とってもほのぼのしますね。
そうそ、私の父方も福井、これも何かのご縁かな?
広沢の鯉、今年は食べ損ないました…
いけない、また食い気だ(笑)

JIMO 09-01-21 (水) 19:15

お墓参り、去年も記事にされてましたっけね。
親父さんと男同士の寡黙な墓参り。
うちは夏の帰省時に家族諸々みんなで出かけるので
にぎやかな墓参りです。

107 09-01-21 (水) 21:27

△ 小雅クン
広沢の池は水をゆっくり抜きながら集まってきたコイだのフナだのを一気に漁獲するのだそうな。
ボクらの釣りもそんな風にムシがよくいくといいんやけどね。
・・・もっとも、そんな風に獲れたものに喜びはわかんだろうけど(´∀`)
子どものころ、近所の寺に忍び込んでブンブン捕りをよくやったなぁ。
懐かしい。
残念なことに、今は昔の話になりつつあるみたい。

△ futaba さん
タバコ、いいでしょ^^
「お祖父さん、火もらうよ」と言って、ボクの煙草に火を移したりもするんです。
京都の人は古くは継体天皇のころから福井の出の人が多いのかも!
だから福井出身は由緒正しいのです!(ということでw)
今年は・・・って、毎年食べられてたのですか?
風流〜〜〜 (゜o゜*)
さすがです!

△ JIMO さん
毎年数回は一緒に行ければなぁと思っています。
寡黙・・ってほどでもないかも。
往復の道中はバカ話を延々とですから・・・・(笑
大人数で大騒ぎもにぎやかでいいですね。
もう何年もしていません。あの空気が懐かしい。。

piro55 09-01-21 (水) 23:42

こんばんは!
お祖父様との思い出、素敵ですね。
わたしは子供のときからずっと祖父母とのかかわりがあまりなかったので
思い出がほとんどないんです。
温かいお膝の上で遊ばせてもらうかぁ。
覚えていないのですが、なんだか恋しいような感じがするのは
経験があるからなのでしょうか。
かわせみ!
見てみたいです。きれいなんだろうなぁ。

107 09-01-23 (金) 0:50

△ piro55 さん
こんばんは!
恋しいような・・・ですか^^
ヒトが癒される事象というのは、直接のその経験はなくともきっとDNAが覚えているんじゃないでしょうか。
都会で生まれ育った人が何故か田園風景に惹かれ郷愁を感じるのも、人間が長い時間をかけて育んだDNAがそうさせるのだと聞きます。それと同じのような・・・
カワセミ、きれいですよ!
英名を「kingfisher」と言いますから、ボクらの親玉みたいなもんです(笑
小さな鳥ですから、近くにいても見過ごされているのかもしれないですよ^^

メディック 09-01-23 (金) 13:01

子を思う親の気持ち
親を思う子の気持ち
それは不変のもの
風がおさまった時に
思い出せれば
それでいい
時は相変わらず
何事も無かったように
流れてくれるから

みやび 09-01-23 (金) 22:48

そちらでは冬でもカワセミを見られるんですね。
カワセミは北海道では越冬できないらしく、冬の間は南に渡って北海道から居なくなるんですよ。
ウチのお墓もお供え物を置いていくのは禁止されています。カラスが居着いてゴミをちらかしたり墓石が糞で汚されたりするからだそうなのですが。
そのお陰か霊園内は綺麗ですよ。目に見える範囲内すべて同じ墓石が規則正しく並ぶ巨大霊園で、何故か実物大ストーンヘンジとか実物大モアイなどのオブジェがある不思議な場所ですが。

107 09-01-24 (土) 21:46

△ メディックさん
ホント、その通りです・・
人は来て過ぎてゆき、時の流れは移ろいゆくものですが
その中でほんのひととき。
いい時間でした^^

△ みやびさん
さすがに北海道の冬はカワセミには厳しいのでしょうね。
真冬でも小魚が狙える場所、ってのがキーポイントなのでしょうか。
なるほど、カラスがいましたね。
ウチの寺も敷地を広げて、真新しい墓がたくさん建っていました。
このご時勢で大したもんですよね・・・w

noobooboo 09-01-25 (日) 13:19

107さん
だいぶ出遅れてしまいました。
なんだか最近忙しいのです。いいのか悪いのか。
男同士の関係っていいですね。
こんな風に自然な親子になってくれたらなって、
息子を持っていますので思います。
でも、タバコは吸わないで欲しいですね〜笑
おじいさんも久しぶりでむせているかもですよ〜!

107 09-01-26 (月) 0:56

△ noobooboo さん
来ていただけたら、それだけでとてもうれしいですよ!
お忙しそうで、そしてとても楽しそうで、なによりです^^
親子の関係は、10人いれば10人それぞれなんでしょうね。。
ウチは時間をおくことで、すごくいい関係になれたような気がします。
息子クン、大きくなっても今のままのママン想いでいてくれたらいいですね!
おジイさんはタバコ好きだったんですけど、2本一気吸いはキツかったかも^m^

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