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ジョン・ウェインという人

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前回記事の「シェリフ」で書きたくなった。
「シェリフ」と言えばやっぱりこの人をおいて他には考えられないという人。

ジョン・ウェイン。

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「真昼の決闘」の老保安官、ゲーリー・クーパーも悪くないし(ただし役中で若妻グレース・ケリーと結婚するという羨ましすぎる設定が許せん・笑)、「荒野の決闘」における名保安官ワイアット・アープ役のヘンリー・フォンダもとてもいい(クレメンタインがキュート!)のだけど、それでもやっぱり西部劇の保安官といえばボクの中ではジョン・ウェインなのである。

若い頃の一躍スターダムに駆け上った名作「駅馬車」ではリンゴ・キッドというアウトローの役をしていたが、それ以降の作品では勧善懲悪の善側に立つことが多く「リオ・ブラボー」(これが傑作!)、「エル・ドラド」から最晩年の「ラスト・シューティスト」(これが泣ける!)に至るまで、彼の描き出す保安官像というのはまさに「古き良きアメリカ」の理想像でもあったのだと思う(余談だが、前回紹介した「I shot the sheriff」のクラプトン版のビデオがYouTubeにあるが、ここでも、保安官としてジョン・ウェインの登場する映画のワンシーンやポスターが印象的に使われている。ちなみにポスターは「リオ・ブラボー」のものである)。

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一方でジョン・ウェインは共和党支持者のタカ派で、戦争物のプロパガンタ映画に多く出演した。近頃はクリント・イーストウッド監督の硫黄島の戦記が評判だけど(彼の監督する映画はどんどん良くなってきていてとても好き)、1949年に公開された「硫黄島の砂」という映画にジョン・ウェインは部下に厳しい鬼軍曹役で出演している(ハマリ役!)。
しかしこの映画では、煙草を一服しているところを狙撃されて戦死するという役を好演し、単なるヒーローものというよりは戦争の無情さを前に押し出していて、ともすればタカ派で好戦的とされるそのイメージとはかなり違う側面を垣間みることができるように感じる。

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また1952年の「静かなる男」で見せる静と動のメリハリの効いた好演は、「西部劇や戦争モノしかできない大根役者」というそれまでの批判を覆すものとして、役者としてのジョン・ウェインの真骨頂を現したものだ。彼は確かに直情径行型の熱い男だったのだろうし、タカ派を自称して自ら進んで戦記物の映画に出演するその姿に、古き良き時代の正義感にあふれたアメリカ人の理想像を見いだして当時のアメリカ人は拍手喝采したのだろうと思うが、決してただそれだけの単純な人ではなかったのである。

ジョン・ウェインが1957年に初めて来日したとき。
日本の記者が大勢詰めかけた会見で、彼は開口一番にこう言ったと伝え聞いてる。

「私はアメリカを代表して、日本の人々にヒロシマ、ナガサキのことを謝りたい。
 アイ・アム・ソリー」

終戦後ほんの12年の話である。
今のアメリカ人に、彼と同じセリフが言える人間が果たしてどれほどいるだろうか。

ボクの大好きな役者である。


Comments:13

sekisindho 07-09-11 (火) 1:07

107さん、こんばんは。
映画をあまり観ない私でも、アメリカの大スターといえばジョン・ウェイン、西部劇といえばジョン・ウェインですね。
駅馬車やリオ・ブラボーなど流石に観てますね。
何故かアイゼンハワーと重なるのですけど、理由を考えたことはありません。

メディック 07-09-11 (火) 1:40

ジョンウェイン、史上最大の作戦ではいつも威張ってばかりのいやな指揮官役を演じていましたね。第82空挺師団の指揮官。豪華キャストの金銭面でも史上最大の映画でした。例の衛生兵ユージン・ロウ達のいた101空挺のライバル師団なんで良く覚えているんですよ。
どんな役もこなせるっていうのは、単純に考えてやっぱり凄いのでしょう。
それにモノクロいいっすよね! 黄色いリボンもいいですが ^^

noobooboo 07-09-11 (火) 7:39

後ろ向きに歩いてバキュン!するのとか・・・(わかります?言ってること・・・)テレビでよく見ました。
西部劇って、私が子供のころは普通にテレビで流れていましたよね。
>「私はアメリカを代表して、日本の皆さんにヒロシマ、ナガサキのことで謝りたい。
 アイ・アム・ソリー」
B29の画像があるのですが、言いたいことがたくさんあってなかなか使えずにいます。。

107 07-09-11 (火) 13:41

△ sekisindho さん
おや。映画はあまりご覧にならないのですか。ちょっと意外。
「駅馬車」「リオ・ブラボー」は西部劇を見たことある人ならみんなが知ってる傑作ですね。ジョン・ウェインではありませんが「シェーン」あたりもご存知でしょうか?^^
アイゼンハワー・・・なぜに!?(笑

△ メディックさん
「史上最大の作戦」そうでしたそうでした。あの役は「硫黄島の砂」での鬼軍曹がとても出来が良かったので、そのまま流用したんじゃないかと思ってます。カメラがあちこちに飛びすぎて全体像がサッパリわからないという点でも史上最大ではないでしょうか(笑
そうだ!ジョン・ウェインのもうひとつのハマリ役が騎兵隊でした。「アパッチ砦」「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」「騎兵隊」等々ありますね。そういえば『黄色いリボン』の意味は『愛する人の戦場での無事を祈り帰還を願う』とのことでしたね^^

△ noobooboo さん
後ろ向きに歩いてバキュン!分かります(笑
そういえば最近テレビの洋画劇場などで西部劇をほとんど見かけませんね。今はDVDが豊富にラインナップされてますから、わざわざテレビでCMでズタボロにされたのを見る気がしない、ってのもあるかも。
ジョン・ウェインだからこそ「私はアメリカを代表して」というセリフが厭味も傲慢もなく言えて聞けるのだと思います。虚飾のない真摯な態度と発言に、会見場は水を打ったようにシーンとなり、やがて拍手がわき起こったと聞きます。「アメリカの正義」とも呼ばれた人の自覚と矜持をこの言葉に見たような気がするとともに、しかし、その「正義」は彼とともに去ってしまったのではないかとの危惧がいま胸をよぎります。
今日この日にこそこの言葉を、と思い、掲載しました。

ひぐちあきお 07-09-11 (火) 13:56

アメリカ人にとって愛すべき”オールド・ダッド”。古き父親の偶像がジョン・ウェインですね。
思うに、かの国の人々はいつだって理想のパパを求めているような気がします。その最たるものが大統領かもしれません。
レーガンのような大根役者が大統領になれたんだから、ジョン・ウェインがなったって不思議はなかったのにと思ってる人、きっといっぱいいるでしょう。
今の俳優とはスケール感が違います。
ポスト”デューク”になるには、シュワちゃんじゃ役不足だし、ケビン・コスナーやハリソン・フォードはさらにスケールが小さい。現代の俳優たちは器用になったぶん、スター性が失われたと思います。
それは日本だってそう。
今の日本映画は面白くなったし、役者も演技がうまくなったけど、大衆に愛されるスターはいなくなってしまった。役所広司も渡辺謙も、さすがに片岡千恵蔵や板東妻三郎らにはかないません。

マロニエのこみち・・・。 07-09-11 (火) 19:14

ひぐちあきおさんの意見に大賛成!
和洋問わず、いにしえのスター程のオーラを放つスターが見当たりませんね
息子さんが演じられた『月影兵庫』も、期待を裏切り、もはや今日で早々に最終回
作り手にも問題があるのでしょう
観る側に合わせ過ぎているのも原因かも・・
それと背負う時代の重さがあまりにも違いますね

みどり 07-09-11 (火) 20:56

わぁ、ジョン・ウェイン!私はあんまり詳しくないのですけれど、観た中ではやっぱり「リオ・ブラボー」がイチバン面白かったです。昔は、テレビでよく西部劇をやってましたねぇ。今の子って、ほとんど西部劇は観る機会が無いのじゃないかしら。寂しいことだなぁと思います。
最近「高校生よ、もっと映画を観よう」という本を読んだんですが、著者の方が「勉強しなくてもいいから映画を観よう」という事を書かれていて、思わずうなずいちゃいました(笑)。

107 07-09-11 (火) 23:02

△ ひぐちあきおさん
デューク・・・さすがご存知ですね(´∀`)
レーガンは大根ゆえに転職したのかと思ってました(笑
手持ちの資料によると、かのマッカーサーが大統領になりたくてジョン・ウェインを政治的に利用したことがあるそうで(1952年の共和党大会)、ウェインはそれを嫌い、以降政治に関心を持つことはなかったそうです。
スケール感、違いますよね・・・。ジョン・ウェインは唯一無二で、同じような人気とスター性を持った俳優は二度と出ないだろうと思います。もう随分くたびれてきましたがそれがなかなかいいい味を出してきたクリント・イーストウッドも「男くささ」ではいいセンいってると思いますが、スケール感に欠けるという感じでしょうか。
日本の役者は比肩する人を知りません・・・残念ながら。

△ マロニエのこみち・・・。さん
今の日本のドラマは、制作側に大きな問題があると思いますよ。もちろん、役者の技量も多少はあるかもしれませんが、制作する側の意識が低すぎるように見えます(なにさまじゃい!?という批判はとりあえず棚の上に・笑)。
今の時代も、捉えようによってはかなりな重さだと思うんですがね。

△ みどりさん
「リオ・ブラボー」いいですね。大好きな作品のひとつです。
西部劇はNHKの衛星でときどきやってますね。民放のはCMでズタボロにされる上に、近頃はB級C級のくだらない映画や末梢神経系にしか訴えかけてこないアクションもどきの映画ばかりで、視る気も起こりませんです。
「勉強しなくてもいいから映画を観よう」
ムチャ言わはりますな(笑

オードリー 07-09-13 (木) 20:41

名前は知っていますが。。。作品は見た事がありません。。。
しかし、この俳優さんの名前を私の父が、よく話していた事を想いだします^^。きっとファンだったんでしょうね。
アメリカ軍雇用員の経験のある父でしたので、アメリカびいきだったんです。
今度、観てみようと思います^^。

107 07-09-14 (金) 1:42

△ オードリーさん
今日はうそつき天使さんではないんですね^^
お父上の世代の人が好きだった俳優さんですね。ウチも親父が好きでその影響でボクも見始めました。決して男前ではないんですが、男臭さがカッコいい特異な俳優さんです。
今は手軽に手に入るDVDがたくさんありますから、ぜひぜひご覧になってみてください。
最初なら「駅馬車」「リオ・ブラボー」あたりがお薦めです^^

グレン 11-02-06 (日) 22:13

「勇気ある追跡」TRUE GRITTが好きです。私の生まれる前の作品ですが、西部劇らしからぬ(アメリカン・ニューシネマの頃)、それでも西部劇らしい? 作品。なんでもジョン・ウェインが初めてアカデミー賞を獲得した記念すべき映画。2010年にリメイクされたけれど、いかほどのものか….。他に「アラモ」も不作に終わったし…。やっばり往年の名作は、それなりに名作でいてほしいものなのでしょう。

107 12-01-05 (木) 0:47

グレンさん、コメントいただき有難うございます。
また、永いことブログを顧みることなく、遅レスで大変失礼いたしました(_ _)

「勇気ある追跡」、いいですね!
片目で飲んだくれの老いぼれ保安官の役、クセモノの怪演・快演ぶりがとてもよかった。
リメイクは観てないですが・・・
きっと、ウェインのオリジナルに勝るものはないと思います。
今の時代、あのころのような西部劇が作られることはもうないのではと、そんな諦めにも似た気持ちもありますね。。

うん。。
なんだかまたウェインの西部劇が観たくなってきましたよ。

のんや 13-05-01 (水) 15:14

スケールが大きいといえば 
ジョンウェインが一番でしょう。

あのソフィアローレンに「コーヒーでも飲め」なんて
いえるのは彼しかいません。

あと、寝ているローバートミッチャムを起こすのに
バケツで水をぶっ掛けていました。

ついでにアラスカ魂で悪漢から秘密を聞き出すのに
体を押さえつけて熱湯をぶっ掛けていました。

もちろん映画での話ですが、豪快でかっこいいんです。

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