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ボクの「西遊記」

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先日の部屋の移動の際、荷物を整理していたら少年の日に愛読した懐かしい本を発見した。思わず手に取りページを開いてみたら心は遥か昔に戻り、移動を終えたその日の夜からすぐ読み始めてしまった。
それは・・・「西遊記」

ご存知、猿の孫悟空が活躍する話でお馴染みの伝奇小説である(成立の経緯や内容の詳細についてはこちら)。ボクのは福音館書店発行の小学校上級以上を対象とした児童向文学書シリーズのものだけど、訳者の君島久子さんの添え書きによると、原文に挿入された講談用の長文の詩や煩雑な文章を一部抄訳した以外は、従来児童向けにほとんど訳出されなかった回も訳し、原本にほぼ忠実に従っているとのこと。上下巻に分かれ全百回(現行のものは文字が大きくなって上中下の3巻構成となっているらしい)、大人でも存分に楽しめる内容となっている。
ちなみに第一回の見出しはこんな感じ。

第一回
零根育孕源流出 心性修持大道生
(零根 育くまれて 源流出で 心性 修まりて 大道生ず)

七言の漢詩形式でとても児童向けとは思えない格調の高さである。
この本のイラストが、またシビレるのだ。瀬川康男さんの手になるものだが、児童書のイラストとしてはもったいないほどの力作、大作で、毎回に必ずひとつ描かれている。ここまでくるとこれはもう芸術作品の域である。右に掲げたのは西方大雷音寺から遣わされた南海の観世音菩薩とその弟子・恵岸が唐へ取経の僧を捜しに行く道中、孫悟空・猪八戒・沙悟浄・玉龍(馬に変身)にいずれ来る取経の僧を助けるよう戒を授けている図である。この本を小学四年のときから数えきれないほど何度も読み尽くしたボクにとって、「西遊記」の視覚的な世界観はこのイラストによるものとなっている。
070705saiyuuki2.jpg
顧みて我が国では例のテレビドラマが人気だそうだけど、もうちょっとマシな作り方はできないものかねと思ってしまう。昔に視た夏目雅子の三蔵も確かに話題性はあってあの人そのものは美しくてよかったし主題歌(モンキー・マジックとガンダーラ、ともにゴダイゴ)もとてもよかったのだけど、肝心のストーリーやメイク、セットが貧弱すぎて期待ハズレもいいところだった。今やってるのも、深津絵里や香取慎吾など、役者そのものがマズいのではなくてやっぱり同じようにストーリーやメイク、セットが貧弱すぎる・・・というよりは、ふた昔前のC級ドタバタ香港カンフー映画のように見えて非常に情けない気持ちになる。このドラマの映画化のためのロケを本場中国でやるのに、中国のメディアが「我が国の文学への冒涜である」と息巻いて場所を貸すなと反対していたと聞いたが、普段中国嫌いなボクもこの時ばかりは激しく同感してしまったほどだ。所詮テレビ(特に民放)のやっつけドラマであるから、贅沢を言うつもりはない。でもせめてほんの少し、原作が持つ格調の高さと仏教や道教に裏打ちされた独特の世界観を表現してくれればいいものを。
まあテレビドラマや映画の「西遊記」にはさらさら期待するつもりもないけれど。
でも、こういうイラストの感じでアニメならできそうじゃないか?
それもNHK教育あたりならいいものできるんじゃないかと思うのだけど・・・
そしたら必ず毎回視て、DVDが発売されたら必ず全巻揃えるのに。


Comments:16

みどり 07-07-05 (木) 14:57

こんにちは♪
瀬川さんの画は、趣深いですね。
君島さんの訳も一級ですし。
素晴らしいご本をお持ちですね。
瀬川さんの絵でアニメ化されたら素敵でしょうねぇ。
想像するだけでワクワクします(*^_^*)。

ひぐちあきお 07-07-05 (木) 15:40

ぼくが初めて「西遊記」を知ったのは、虫プロのアニメ〈悟空の大冒険〉でした。子供の頃、わくわくして毎週見てました。いまは主題歌とエンディングの曲の場面ぐらいしか憶えてませんけど。
あれなら中国人も納得するんじゃないかなあ……(笑)。

JIMO 07-07-05 (木) 22:35

夏目雅子さんが三蔵法師をやっていたドラマでは
すでに話を知っていたので、どこかで本を読んでいたんでしょうね。
こんな素敵な本だったとしたらいいなあ。(笑)

sekisindho 07-07-06 (金) 0:04

107さん、こんばんは。
しばらく静かだったので、チョット心配してましたよ^^
中国ものの中で三国志や水滸伝に比べ「西遊記」は一番馴染みがありませんが、小さい頃に漫画か小説でか定かでありませんが何度も目にしており、ストーリーはよく分かってます。
今回のTVでやってるのは、俳優のせいではありませんがまったく興味がわきません。
でもこのご紹介の本はいいですね!107さんが読み返したくなるのもこの絵を見ただけでよく理解できます。
私のところで「三国志」、そのうち「水滸伝」やりますから、107さん「西遊記」の連載お願いしますよ^^

メディック 07-07-06 (金) 0:19

「C級ドタバタ香港カンフー映画のように見えて非常に情けない気持ちになる。」
なんとなく納得! しかも ふた昔前って ^^
今、テレビニュースで「空駆ける防人」ってのをやっていた。
スクランブルかけている自衛隊の戦闘機  「ファントム」・・・
日本の防空 ふた昔前じゃん・・・
おまけに相手中国機だし・・・ 防空オワタ。

107 07-07-06 (金) 1:38

△ みどりさん
有難うございます。
さすが、よくご存知ですね^^
この瀬川さんの絵でアニメ化って、想像するだけでワクワクしますでしょ。
やってくれないかなぁ〜
△ ひぐちあきおさん
〈悟空の大冒険〉・・・記憶にございません・・・
調べてみたらギャグアニメだそうで・・・やっぱり中国人、怒るかもですよ(笑
でも面白そう。これはこれで見てみたいです〜
△ JIMO さん
西遊記のダイジェスト版というかホントの子ども向けみたいな本はたくさん頒布されてますから、大まかなストーリーは誰でもご存知なんでしょうね。
機会があればぜひ一度、原本に近い訳のものをお読みになってみてください。ぜんぜんイメージが違ってくると思います。
△ sekisindho さん
バタバタしておりまして、おまけにこんな長編にまで手を出して、ちょいとご無沙汰しておりましたです。ご心配いただき、有難うございます。アルコールはとんと摂取しておりませんのでご安心を(笑
巷に流布するダイジェスト的な西遊記と、原本に近い本来の「西遊記」とでは、ぜんぜん別物のように感じられることと思います。ストーリーが骨だとすると、それに付いてくる肉や皮膚の部分がまったく違うという感じです。
次は「水滸伝」ですか!それは楽しみです・・・^^
が、書き手にとっては大変じゃないですか?なにしろ108人!
あ、でもこれでブログ108回分はイタダキ〜とも(笑
それに比べて「西遊記」は・・・三蔵、悟空、八戒、悟浄に竜馬、菩薩を3人ばかりと如来、金角銀角に牛魔王、その他諸々、せいぜい20人で打ち止めです。あ、でもこれも20回分はイタダキ〜ですね!
・・・考えてみます(笑
△ メディックさん
ちょうどサモ・ハン・キンポーの頃です。あるいはまだ売れてないジャッキー・チェンの頃とも。ミエミエのストーリーに臭い演出、とってつけたような安っぽいヒューマニズムに、ちょいと色気もオマケにつけて。さらにはやたらと演者が動き回り大声を張り上げて景気づけてくれればそこはもう完全C級パラダイス(笑
あのファントムはいただけませんな。しかも「自衛のため」と称して航続距離も短いときてる。ふた昔前どころじゃありませんぜ。「トップガン」の頃にはもうF-15イーグルが訓練に使われておりませんでしたか?

futaba 07-07-06 (金) 12:43

こどもにこそ良質な活字をって最近とても強く感じています。
ほんとに格調高い内容、丁寧な装丁、素晴らしいですね。
親の本を娘が読む!そろそろ親子2代での語り合いがはじまりますね。
我が家もこんな格調高くはないですが、
娘と息子が小学生の頃、パパが少年時代に夢中になった集英社理科漫画(マンガですが・笑)に同じく夢中になりましてね、でも化学が進歩して内容が随分かわってしまっているんですよ。で、あらためて改訂版を全巻買い換えさせられました。でもどこが変わったのか比べながらすいぶん長い間楽しめて、共通の話題ができてたおかげで父子の会話が広がって・・結果的にいいこと尽くめでした。いまでも売ってるのかなぁ。

107 07-07-06 (金) 23:41

△ futaba さん
> こどもにこそ良質な活字を
ホントにその通りです。
子どもにとっても、後々に必ずタメになったと思い返す時が来ますから。
我が家はあと数年したら、上の娘にこれを読ませてみようと思います。幸い、本を読むのは好きなようです。「西遊記」について語り合えたら面白いでしょうね。
科学も知識も数十年前から進歩してますので、昔にボクが見た百科事典やら図鑑やらの内容もずいぶんと違っているようです。たとえば恐竜。ティラノサウルス・レックスの幼少期には、なんと羽根が生えているそうで。
う〜〜む。その羽根で毛鉤を巻いてみたい・・・毛鉤の名前はもちろん「Tレックス」。
なんとも爆釣しそうではありませんか!(結局そっちか・笑

森の音 07-07-07 (土) 0:46

これはすごい。
保存状態も良さそうで、大切にされているのが分かります。
良いお宝ですね。これからも大切に・・・
私自身は何で西遊記の話を知ったか記憶にないです。
しかしこの話を知らない人は全くいないのでは・・・
と思います。
Wikipediaにもありますが
それほどたくさんの人がいろいろな形で表現されているのでしょう。
西遊記100話もあるって初めて知りました。
勉強になりました。

Solo 07-07-07 (土) 6:20

こんにちは、西遊記 ですか、最近のテレビのやつは全くわかりませんが、何十年かまえの幼少の頃に 例の ゴダイゴ が主題歌を歌っていた奴をたまに思いだします。
子供の頃にはあれが怖くて仕方がないって事もあったんですよ。

107 07-07-07 (土) 23:54

△ 森の音さん
子どもの頃にさんざん読み倒しましたので、写真映りはいいですが結構ボロくなってるんです・・・でも今は大切に保管してます。これからも。有難うございます^^
「西遊記」って、誰でも大まかなストーリーは知ってますね。それが却って、改めて全話をきちんとした翻訳で読んでみようという気にさせないのでしょうか。機会があれば、ぜひ一度お読みになってみてください。
△ Solo さん
あのテレビドラマは知ってる人多いですね。
怖かったですか!?
出だしの、石からサルが飛び出してくるところ?
それともエンディングの歌のバックで仏像が映るところかな。
なんとなく妖しげでおどろおどろしい雰囲気は醸し出してましたよね。

オードリー 07-07-08 (日) 6:50

おはようございます^^。
西遊記と言えば、夏目雅子さんの三蔵法師。その世代ですが。。。
本では読んだ事はありません。
読書。大切ですね。読書力のない私。。。
子供たちに読み聞かせをする事で、学んでいます。
子供たちにも「子供の頃にどれだけ本を読めたかが、大人になってから分かる!」と、^^:
今度探してみようかな^^。

piro55 07-07-09 (月) 1:00

こんばんは!
いいですね、子供の頃からの思い出の本が身近にあるなんて。
実は私も西遊記を読んだことがなくて何も知りません。
やっているドラマには何の興味もわかないのですが
この渋い挿絵が合う内容とはどんなものなのか気になります。

107 07-07-09 (月) 1:25

△ オードリーさん
お早いですね。おはようございます^^
読み聞かせをすることで、その物語の面白さ、価値に改めて気づいたりすることありますよね。お子さんには、ぜひいっぱい本を読み聞かせ、また、読ませてあげてください。
オードリーさんご自身も「西遊記」機会があればぜひご一読のほど^^
△ piro55 さん
夜更かしですね。こんばんは^^
もっとたくさん本があったのですが、その昔のゴタゴタの最中に行方不明となり・・・
「これだけは自分の手元に!」と持ってきた数少ない本のうちのひとつです。
全百回分の挿絵を見るだけでも、価値があります。お見かけになったらぜひ手に取ってご覧ください。もちろん、その内容も^^

konatsu 07-07-10 (火) 8:06

ケーブルTVでまちゃあきゴクウの再放送をやってたんですが
まあまあひどい出来で(笑)当時は画期的だったんでしょうけど。
個人的な意見で西遊記と里見八犬伝って実写しちゃいけないと思うんですよね、実写は無理でしょ。
アニメでNHKだといいもの作ってくれそうですね。
日曜7時放送とかで。汚染されてるNHKさんもたまにはいい仕事をして欲しいものです。

107 07-07-11 (水) 1:18

△ konatsu さん
ケーブルでそんなのやってますか。驚き〜
あのドラマがまだマシと思えるのは、エンディングのゴダイゴの歌と、三蔵法師役という無体な設定を度外視して見る夏目雅子だけです(笑
西遊記と八犬伝、実写は無理ってご意見に同感です。どうやってもちゃっちくなりますよね。アニメがいいです、やっぱり。
NHKも下らんことで知名度あげてるヒマがあったらいい企画を考えてほしいものです。

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