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カモの尻毛

070604fly.jpg

たまにはフライ釣師のブログらしくフライ=毛鉤の話でもしてみようかと思う。前回の釣りで、難しいアマゴのライズを仕留めたフライを僭越ながら紹介させていただこう。

070604fly2.jpgあのアマゴは流れと流れがぶつかる複雑な水流のヨレでライズをしていた。普通にナチュラルに流すのさえ難しい流れで、ドリフトがうまくいって頭の上をドンピシャでトレースしてるのに右の写真にあるような通常のハックル・フライをことごとく見切って見向きもしてくれない、シビアで手強いヤツだった。アドレナリンが体中を駆け巡り、次第に強くなる雨足にもメゲず流し方を少し変えてみたりフライのサイズを落としてみたりとあのテこのテを駆使して、最終的にはカモの尻毛をウィングに使ったメイフライ(カゲロウ)の亜成虫パターン(上の写真)で見事に騙して釣りあげることができた。このパターンはここ一番のときに大いに役立ってくれるフライとして、フライボックスの片隅にいくつかを常に忍ばせてある。ボクにとって使い勝手と反応の良さが両立された、ウルトラマンでいうスペシウム光線的な毛鉤である。

余談になるが、ウルトラマンはいかなる相手にでも変身していきなりスペシウム光線を放つことはない。まずはウルトラチョップだのウルトラキックだので相手の力量と能力を見極め、あげくに一旦はコテンパンにやられカラータイマーを点滅させて這々の体で逃げ帰ることもする。そして復活して再び登場してから、ようやく奥の手であるスペシウム光線を放つのである。これこそが、相手のあるゲームにおいてそのプロセスを楽しむあり方の基本であり要諦ではないだろうかと考えるのだ。

フライフィッシングにおけるフライの選択や、道具立て、ラインのシステム、あるいは釣法などにおいて、近頃は釣り雑誌においてもあまりに安易で安直な「釣れるワザ」が軽薄に横行しすぎているように見える。もちろん釣りは「漁」ではなくて「遊び」、ゲームなのだから、ルールに則っている分においては皆がそれぞれ好きに楽しめばいいし、いきなりこのフライを細く長いティペットに結んでもいいワケだ。しかしそれでは、いかにこのアマゴが賢くてシビアな目を持っているかということが永遠に理解できないのではないかと思う。ボク個人としては、釣りという遊びにおいて大切なのは単なる結果だけではなくて「如何にしてそこに至ったか」というプロセスであると考えている。そのプロセスを楽しみながら遊ぶのが、ボクは大好きなのだ。

カモの尻毛フライの話だった。

ウィングはカモの尻毛。CUL DE CANARD(略してCDC、仏語で「カモの尻」)という。通常使われるコックネック・ハックル(雄鶏の首毛)をパーマ状に巻いて水の表面張力を捉えるものより水面への干渉の仕方がソフトで、実際の水生昆虫のそれに近いのでリアルさが増すという大きな利点がある(何故そうなのかはいろいろと理屈や講釈があって長くなるので、面倒臭いからここでは割愛する)。

070604hackle.jpgこのパターン、ウィングはCDCで、ボディとテイルは1本のマラード(マガモのボディ・フェザー)。ヒラタカゲロウやフタスジモンカゲロウなどのイエロー系のメイフライをイミテートするなら、レモン・ウッドダック(カモの一種の黄色いフェザー)がいいだろう。いずれもフェザーのファイバーにフリュー(微細な毛羽)が細かくあり、CDCと同じくソフトに水面に干渉する。なければヘン・ハックル(雌鶏の首毛)でもよい。ストーク(羽根の芯)の途中で切って、数本をテイルにして残りを緩い円弧を描くように下へなでつけ、スレッドで留めて虫のボディとしている(イラスト参照)。

このフライパターンはボクが勝手にこんなのがいいかなと考えて巻いたものなのだが、これの元になるようなパターンやそっくりのパターンなんかはすでに存在することだろうと思う。最近のパターン・ブックや釣りの雑誌などはほとんど見ず情報に疎いのでこれと言えないが、それでもだいたいパターンなんてものはいつかどこかで見たものを栄養として発展させ、自分なりの使い勝手が良くなるようにと工夫し改善するものだから、これぐらいのものならすでに誰かが思いついている筈だ。その程度のものを以て「オリジナル・パターンです」などと恥知らずでおこがましいことは言えない。

それでも一応、自分だけに通じる識別記号としての名前はつけてある。カモの尻毛を使ったメイフライの亜成虫(専門用語で「ダン」)パターンということで・・・

「ケツ毛ダン」

・・・まことに下品で申し訳ない。
 


Comments:10

オードリー 07-06-04 (月) 21:59

う。。。
さすがに。。カタカナいっぱいで、専門用語がたくさん!
神聖な場所(今回の記事)にも思える程でしたが。。。
〆は「ケツ毛ダン」。。。なれば。。。踏みこむしかない^^。
しかし、綺麗ですね。。。擬虫?
しかし、プロフィールの横顔ハンサムさんは?^^。ニヒルなマフィア?

みやび 07-06-04 (月) 22:31

CDCとレモンウッドダック。
私にとってはイライラマテリアルの東西横綱です。
CDCはお手入れに気を使わないといけないし、CDCだけで浮かすようなタイプのフライは見にくくてイライラ。レモンウッドダックは繊維が柔らかすぎて上手く纏められずイライラ。
まぁ、どちらも使い手側に問題有りなんですけど。。。

JIMO 07-06-04 (月) 23:07

カタカナイッパイデコレダカラフライッテトッツキニクイ。。。
って思ってたら・・・(爆)
冒頭の写真の尻尾の違いとか全然わからなかったけど、
釣りをウルトラマンに例えるくだりは「なるほどなぁ。」でした。
渓魚相手にスペシウム光線ばっかり放ってたら
ヤツの性質や力量がわかんないですもんね。(笑)

sekisindho 07-06-05 (火) 1:07

107さん、こんばんは。
ほとんど理解できません(汗
で、107さんはウルトラマン世代かなと思ったのですが、少し後ぐらいですか。
いずれにしろ楽しく読めたのはその部分だけでした。
でも久しぶりに107節、って感じで面白かったですよ(^^)

107 07-06-05 (火) 1:16

△ オードリーさん
小難しい話で失礼しております(^ ^;
そう、擬虫・・・カゲロウという水生昆虫の成虫を模している毛鉤です。
命名は下品ですけど、語呂がなんとなくよろしゅうございましょ(笑
プロフの横顔がニヒルなマフィア?
写真を減らしたのですが、その中のかな・・・
ハンサムすぎて、見る人の目をつぶすといけませんので(うっひゃあ *´Д`*)
△ みやびさん
あはは。確かに扱いにくいマテリアルですよね。
ボクもCDCを細かく取り付けるの、苦手です。なので写真のように、ぼわあっ、バッサリ、てな具合におおざっぱに・・・これで浮力も視認性も相当なものになります(笑
ウッドダックもふにゃふにゃのファイバーが扱いにくいのでストークにしばりつけて・・・
要は、めんどくさがりのフライでございますよ(*´∀`)
△ JIMO さん
とっつきにくくて悪うござんしたね(笑
何を以てスペシウム光線と定義するか、は、釣人それぞれ、あるいはフィールドそれぞれによって異なるのだと思います。中には影のように移動してライズするバルタン星人みたいなサカナもおりますし、この「ケツ毛ダン」ごときまったく相手にしてくれないゼットンのようなサカナもおりますから・・・時と場所と相手によって、その程度の上げ下げの加減をするもの、また面白いものだと思ってます。
とっつきにくい上に、しち面倒くさい釣りでございます(笑
△ sekisindho さん
これは失礼をば・・・m(u_u)m
ウルトラマンは再放送ベースでセブンの世代です。
まあ、かようなややこしいことを頭の中でこねくり回して、あげくに雄ガモの美しい羽根を見ては舌なめずりをしてよからぬ想像を膨らませる、そのような遊びです。
sekisindhoさんも、いかが?
きっと、ハマられることとお見受けしておりますが(笑

メディック 07-06-05 (火) 1:31

マラードのリンクから、北京ダックいって、ピータンいって、
ドナルドダックで寄り道して、最後はフォアグラいって、
今、戻ったらもうこんな時間ですか・・・

Solo 07-06-05 (火) 7:24

こんにちは。
綺麗なフライですね、今の自分ではまだまだとても。
ゲーム性の強い釣りですからね、結果はどうあれ渓に立つこと自体を楽しみたいですよ、個人的には……
だって……
いっつも釣れないんですもの……

ひぐちあきお 07-06-05 (火) 12:31

ぼくも先日、CDCダンで一尾かけました。
ここぞというときに活躍してくれます。水面にぽっかりと浮いた状態って、本当にカゲロウの亜成虫ですね。しかも視認性が抜群。イブニングライズで活躍してくれます。
ただ、一尾かけると、べたべたになって終わり……ってのがちょいとつらいですが(笑)。
うちの奥さんは、CDCを「カモの臀部の毛」の略だと思って多様ですが、Cを「か行」で読むかな、ふつう(笑)。

futaba 07-06-05 (火) 19:00

祝、復活
おかえりー!!
「お連れ様がおまちです」って(美しい声)が届きました?
甲斐性がありすぎていろんなことが重なるでしょうが、
プチンと切ってしまわないで繋げといてくれる感じがなんかいいです、とっても。
もてたでしょ?年上に(笑)
>毛ばりの話もわからないなりに楽しいのは名調子が戻ってきたからでなのですね。
せきさんのコメントを読みながら確信しました。
とにかくうれしいです!

107 07-06-05 (火) 22:59

△ メディックさん
それは長旅でしたね(笑
カモのリンクだと、合鴨だの北京ダックだのピータンだのフォアグラだのと食い物多し。
見てるだけで腹減ります(´A`)
△ Solo さん
こんにちは〜
実物はきれいでもなんでもない、実におおざっぱなフライですよ。
そう・・・渓に立つことからまず始まる、過程を楽しみたいですね。
ボクも釣れないときは余裕ないですけど・・・
へんっ。ボクのフライを食わないなんて、なんて見る目のないサカナどもなんだ!と毒づいて帰ることにしてます(笑
△ ひぐちあきおさん
一尾かけたら・・・いや、ペロンと舐められただけでもう沈没・・・ってのがCDCの悲しいところですね。夕マヅメの薄暮にフライいちいち換えるのも時間も惜しいです。ので、じゃばじゃばっと洗って、シャカシャカッとして、ブッシーとスプレーして、再出撃してもらいます(笑
「カモの臀部の毛」・・・ナイス・センス!ヽ(´▽`)ノ
△ futaba さん
たらいま〜 放蕩者が帰りましてございます〜
声、届きました届きました。futabaさんの美しいお声と暖かいお言葉の諸々、心に沁みましてございます・・・改めまして御礼申し上げまする。
ありがとうございます <(_ _)>
・・・futabaさんこそ、年下におモテになりませんでしたか?(*´∀`)

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