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第六潜水艇、浮上セズ

時は明治の終わり。大日本帝国海軍は第六潜水艇の初代艇長・海軍大尉、佐久間勉という人をご存知だろうか。戦前に学校教育を受けた方なら、修身の教科書に載っていた人なのでご存知だろうけど、まずこのブログをご覧になっている方はご存知ないだろうと思う。

国産初の潜水艇である第六潜水艇について詳しくはこちらをご参照いただき、特に「事故概要」と、最下段の外部リンク先「佐久間艇長の遺言全文」をご覧いただきたい。艇長は、沈みゆく艇の真っ暗な中、酸素がどんどんなくなっていく中で最後まで最善を尽くし、また、乗組員の家族を気遣ったメモと遺言を綴って静かに死んでいった。

佐久間艇長は、福井県三方町出身で、ボクの遠縁にあたる人である。父方の祖父が養子(婿)に入った先の従兄弟だと聞いていて、親父は子どものころから艇長のことをよく聞かされて育ったそうだ。メモの写しなども見たことがあるらしい。ボクもこの話を子どものころから親父に聞かされていて、だからこの人を知っている。福井の本家のある集落の入り口の国道沿いに「佐久間艇長生誕の地」という碑が立っている。

だからというか、親父は祖父からことあるごとに「とにかく恥ずかしい生き方をするな、親戚に申し訳がたたない」と言われていたそうである。果たしてそう言っていた祖父自身がそう生きえたかどうかが大いに疑問なのだけど(養子に入った先の身代を食い潰して京都に出てきた)、しかし、佐久間艇長の自身の美学を貫徹する姿勢が、祖父や親父、そしてボクの生き方に大きな影響を与えていることは、間違いなく確かであるように感じる。
・・・しかしながら。

「謹ンデ陛下ニ白ス 我部下ノ遺族ヲシテ窮スルモノ無カラシメ給ハラン事ヲ 我念頭ニ懸ルモノ之レアルノミ」
(訳:謹んで天皇陛下に申し上げます。私の部下たちの遺族が生活に困ることのなきようお願い申し上げます。私の念頭にあることは、ただそれだけです)

メモに記された、佐久間艇長の公遺言。
自分がそのような状態に至ったとき、果たして艇長のように静かに最期のときを見つめることができるだろうか。

昔からのテーマである。
未だに答えは見つからない。


Comments:13

sekisindho 07-01-29 (月) 1:16

107さん、こんばんは。
立派な方が祖先にいらしたのですね。
人間の死に様には、その人の生き様が映し出されるのでしょうか。
>未だに答えは見つからない
まだまだですよ。
まだまだ生きてから答えは自ずとみつかるのでは。

konatsu 07-01-29 (月) 11:54

こんにちは。
第六潜水艇、浮上セズ って耳にしたことはありましたが
しっかりと内容にふれたのは初めてです。
酸素のない中、最後に残していたのが家族に対する思い…
自分に甘い私には
最後の瞬間まで悪あがきと後悔と悲しみでいっぱいになるでしょう
でもこれから先、まだまだ長いのです。
きっと見つかります
(wikipediaのリンクが見れなかったです)

マロニエのこみち・・・。 07-01-29 (月) 20:08

この頃の方々は、やはり今の私たちとは違いますね
自分の仕事や立場に対する誇りは、どんな窮地に立たされても忘れることがなく、
国のため、天皇陛下のため、そして自分自身や家族の名誉、
そして美学を貫く為に、醜態を晒すことはなかったのでしょうね
この頃の方々は、着ている物もダンディで、すごくお洒落
顔つきも違っています
同じ日本人なのに、この違い・・・
幼い頃からの教え、教育が、どれだけ大切なものかを痛感いたします
『自身の美学を貫徹する姿勢が、祖父や親父、
そしてボクの生き方に大きな影響を与えていることは、
間違いなく確かであるように』
さりげなく同意いたします(笑
でもまあ、お酒の海で、泥酔し寝たりするのはやめましょうね(イヒヒ・・

オードリー 07-01-29 (月) 21:20

多分、初めて聞くお話かも知れません。(苦手なもので….)
しかし、素晴らしい生き方ですね。美学だとかはよくわかりませんが…
誰かのために、命をも惜しまない勇気。オードリーも目指す所です。
言うのは簡単ですが…全ての事に感謝してあの世の旅立てるように、日々を完全燃焼できれば幸いだと想っています。
あの世での仕事がまっているので…色んな事を学びたいものですね^^。

107 07-01-29 (月) 22:06

△ sekisindho さん
こんばんは。早速に有難うございます。
血の繋がりはありませんので、祖先というよりは「縁者」程度でしょうか。こういう人が祖先にいたら、それこそ好きなことができなくて大変かも。^^
しかし、縁者とはいえ立派な生き様の人がいたことは、ボクらの家系にとって誇りであることは間違いないです。
答えは、見つかりませんね・・・
このご時世、いつなんどき何があるか分かりませんが、答えを見つけるまでは生きてみたいと思ってます。ただ、死ぬときにしか答えが見つけられないものかもしれないとも思います。
それがいつ訪れるのかは、天のみが知るのでしょう。
△ konatsu さん
こんにちは。
この話をお聞きになったことがあるのですか。驚きました。^ ^;
他国の海軍でも、同時期に同様の事故があって、そちらの内部は乗員が入口ハッチ付近に殺到し殴り合いの喧嘩の跡まであったりして、それはもう阿鼻叫喚の惨状だったそうです。
wikiのサーバがダウンしていたみたいで、恐れ入ります。
今は正常に動いているようなので、ぜひご覧になってみてください。
有難うございます。^^
△ マロニエのこみち・・・。さん
さりげないご同意、有難うございます^ ^;
さてそれが、いい方向に影響を与えているのか、よくない方向に影響を与えているのかは、今少し分析の必要があるようですが(笑
決して軍国主義や天皇崇拝を啓蒙するつもりはないのですが、しかし、最近の世情、教育のあり方を見るにつけ、戦前の教育にも学ぶべきところは大いにあるように感じます。
> 酒の海
うしし!
一本ヤラれましたな。
最近はもうそんなことはしておりません。悪しからず。
△ オードリーさん
有難うございます。
・・・って、あの世で待っている仕事って、なんですか!?(笑
そうです、日々、一日一日を完全燃焼できていれば自ずと最期も安らかと・・・なかなか、世の中そうは問屋が卸してはくれないものですから、ゆえに悩みや苦しみがあるのでしょうか。
ああ〜。堕天使と後ろ指さされてもいいから、背中に羽でも生えんもんですかね〜(笑

piro55 07-01-30 (火) 2:00

こんばんは!
自分の家系がしっかり分かっているのって、とてもあこがれます。
しかも、生き方に大きな影響を与えて下さるような方であったら誇りに思えるでしょうね。
個性はもちろん大切だと思いますが、最近は「自分が、自分が」と行き過ぎた風潮を感じます。ただの身勝手で終わってしまい、それが小さなことにも大きなことにも表われているのがとても残念です。
この方のような日本人の心意気、大好きです。

noobooboo 07-01-30 (火) 2:43

こんばんは。すっかりお休みの時間ですね。こちらはお昼です。
私もお墓参りこそあまりしませんが、祖先のことは大切にしているつもりなんです。その方あっての今の私達ですものね。
我が家にも戦艦マニアがおりまして、いろんなところに連れて行かれました。もちろんシカゴのUボートも見てきましたよ。私にはちょっとわからないんですけど。。
ただ、横須賀の三笠は入艦しただけでタイムスリップしました。
迫力と緊張感が伝わってきました。
心意気とか生き様とか
107さんのブログで時々拝見する気がします。
意外に男気もありますものね^m^

kajino-koichi 07-01-30 (火) 9:26

当時の教育は個人は二の次なのですね。
もちろん自分たちの生活する社会にルールや道徳心は当然必要であると考えますが、個人の自由な意思や人権は大切ですよね。
最近の恐い事件は何がそうさせているのでしょうか?

107 07-01-30 (火) 18:37

△ piro55 さん
こんばんは、有難うございます^^
縁者の端っこの端っこぐらいですが、それでも誇りに思っています。
おっしゃる通り、個性と身勝手は大きな違いですよね。その意味を自分の都合のいいように勝手に解釈する人が増えてきたのでしょうか。
「かつての日本人は」とは言いたくないと、常々思っています。
△ noobooboo さん
こんばんは。すっかりお休みの時間ですね返し!(笑
こちらは夕方です。
シカゴにUボートありますか。ほお〜〜。「眼下の敵」という古い映画で、ドイツUボートとアメリカ駆逐艦との戦いが印象的でした。
横須賀には行ったことないのですが、機会があればぜひ戦艦「三笠」に入ってみたいと思ってます。日本海軍連合艦隊旗艦にして、日露戦争でロシア・バルチック艦隊を破った日本海海戦で東郷元帥が座乗した艦。ボクも実はちょっとマニアなのです(笑
意外に癒し系のnooboobooさんから男気があるとおだてられると、その気になってしまいますよ^^
いつも有難うございます。
△ kajino-koichi さん
何でしょうね。
「己」ばかりを主張する輩はむしろ浅ましい。
自由の裏には責任が、権利の裏には義務が、それぞれ同じだけあると思います。それらは車の両輪のようなもので、それを片側だけ回そうとするものだから、あさっての方向に曲がっていくのではないでしょうか。副次的にあるものではなくて表裏一体だと認識することが、今の日本と日本人には必要なんじゃないかと思います。
もちろん、ボクも含めましてね^^

メディック 07-01-31 (水) 1:48

初コメントです。
立派な艇長でしたね。最後の最後まで愛する者、そして、かけがえのない仲間達を守る為に。家族を守る父親のように。
ある兵士の手記です。
「誰の為に戦ったのか」という自問にこう答えておられます。
「母ちゃんや子供、親兄弟、好きな彼女などが住んでいる日本の為だ」と公言できる軍隊だったら もっともっと人間味のあるものになっていたと思う。しかし、このようなものは、女々しいことと、排斥されました。
今の時代に生まれて幸せですよね。
さて、守っていきますか、愛する者達を。

ijin7wth2 07-01-31 (水) 12:01

今日は。
国を愛して、自分の職責を強く自覚されていたんですね。
生涯の最後が突然やってきても、日頃から覚悟の出来た人は慌てることが少ないでしょう。全く覚悟など考えたことのない人は、恐らく慌てるでしょう。
愛情や責任感や人間の善の性で、突然の判断で、自分を犠牲にする。
鉄道に飛び込んで、人を助けた例はあります。
大尉の場合はこれには当てはまりません。
今の多くの日本の人は緊急事態を考えたことがないように思います。
考えようとしても、熱し安くさめ易い日本人、心にスタミナがなく、いつの間にか忘れています。覚悟までには遠く及びません。
天災や北の問題。緊急事態は直ぐそこかもしれません。
人事のように申しましましたが、私自身に言っているのです。

teardrop 07-01-31 (水) 12:52

こんにちは♪
最期のときって誰にも迷惑掛けず、穏やかに迎えたいですよね。
でも、お舅さんを見てたら、意外と難しいことなのかな?と思ってしまいました。お舅さんも、戦前の生まれなんですけどね(;^_^A
ガンと分かるまでは、「やりたい事は全部やったから、いつ死んでもいいんだ」って言ってたんですよ。
でも、ガンと分かったら、余命わずかなような事を言って、年末から皆を振り回して、大騒ぎしてました・・。幸い、いろいろ検査した結果、どこにも転移がなかったので、ガンを取ることになったんですけどね。今すぐどうこうって心配も無くなって、肉親はほっとしたようでしたが。私はちょっと、呆れてしまいました(;^_^A

107 07-02-01 (木) 0:41

△ メディックさん
初コメント、有難うございます^^
『「母ちゃんや子供、親兄弟、好きな彼女などが住んでいる日本の為だ」と公言できる軍隊であったなら』という言葉に、先の大戦で戦った兵士の方々の無念を見るようです。
最近の世情を見るにつけ、その戦没者たちの犠牲の上に得た繁栄にあぐらをかいてるように思えてならないのです。最もその恩恵にあずかっている筈の大人が、ともすればそういう戦没者への揶揄を平気で公言して憚らないのを見ると、まあこういう無責任で無神経な大人たちが今の世情を作ったのだろうと思って悲しくなります。
今の時代に生まれた幸せ。有難いことです。
今後とも、よろしくでございます^^
△ ijin7wth2 さん
こんにちは、いつも有難うございます。
今の日本に、突然、究極の判断を迫られる場面があったとしたら、今の日本人はどのように行動するでしょうか。あるいは、ボク自身はどのように行動するのだろうか。顧みると、そのような覚悟が自分にはまったくないように思えて如何ともしがたい焦燥にかられます。
まだまだ、答えは見つかりそうにありません^ ^;
△ teardrop さん
こんにちは♪
お舅さん、まずはひと安心でよかったではないですか。
大騒ぎも終わってみれば笑い話、てな具合に朗らかにいければいいのでしょうけど、現実はなかなか難しいようで・・・^^
そうですね。最期のときは、誰にも迷惑をかけず静かに逝きたいもんですね。
いつも有難うございます。

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[…] 用事で、久しぶりに親父と一緒に福井まで足を伸ばしてきた(釣りに非ず)。 右京・嵯峨野に住む親父の家から左京・大原を抜け、若狭へと至る鯖街道を経て三方五湖のひとつ、日向湖(ひるがこ)の畔にある知り合いのところまで片道二時間そこそこの、のんびりドライブである。 三方にはボクの家系の本家があるのだけど(親戚のことは以前記事にした通り)、今回は寄らないことにする。大した話もない上に、寄るとなると田舎のことだから親戚一同で話が非常に大袈裟にややこしくなってしまうからで、そういうのは親父もボクもまったく好みではないからだ。 […]

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