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スコッチ・ウィスキー

060513speyside.jpg

ときどき、手に入りにくい酒をいただくことがある。以前にもここでレアなテキーラを紹介したが、それをいただいたのと同じ人から先日、名前は聞いて知っているのだけど一度もお目にかかったことのなかったスコッチをいただいた。

「The Speyside(ザ・スペイサイド)」という、スコットランドはグラスゴー在、1895年創業の老舗ディスティラー製のシングル・ハイランド・モルト・スコッチ。少し能書きを垂れてみると、スコッチには、製法で大別してシングル・モルトとブレンデッド・モルトという2種類ある。シングルは読んで字のごとく単一の原酒の樽から汲み出されて瓶詰めされたピュアな味わいのもの、ブレンデッドというのはいくつかの熟成具合の異なる樽や小麦以外の蒸留酒の原酒から、「ブレンダー」と呼ばれる味覚の達人によってさらに昇華された味わいになるようブレンドされたものだ。また、原料となるモルト(小麦)の産地によっても、呼称が区別される。高地産のものをハイランド・モルト、低地産のものをローランド・モルト、というような具合になる。

それでこの「The Speyside」。スコットランドの銘川、スペイ川の名を冠した蒸留所で作られた高地産小麦のブレンドされていないスコッチということになるのだけど(スペイサイドという名ではあるものの、スペイサイド・モルトではなくハイランド・モルトになる)、このスペイ川、というのにボクらフライフィッシングをする釣り人は激しく心を動かされるのである。というのも、このスペイ川はフライフィッシングの聖地のひとつでもあるからなのだ。

スペイ川は、スコットランド地方特有の、典型的なハイバンク(土手の高い)で深みと蛇行の多い川で、通常のフライキャスティングが難しいことからこの川での釣りに独特のキャスト法が古くから編み出されており、「スペイ・キャスト」と命名されて今や世界中のサーモン・フィッシャーのキャスティングの必須項目となっていたりする。また、ボクの好きなBarbour(バブアー)という英国王室御用達のアウターウェア・ブランドにも、この川でウェーディングする(川に浸かる)ために、「スペイ・ジャケット」という超ショート丈のフィッシングジャケットが発売されていたりもする。そんな由緒正しき、酒飲みのフライフィッシャーは必ず敬意を払わなくてはいけない川、その名前を冠する酒がこのスコッチなのだ。

飲り方は、シングルモルトは基本的にストレートである。フラスコという錫製のポケットボトルに入れて、釣り場で釣りの合間におもむろにごくごく飲る、というのが正しいスタイルである。自宅や街のバーで飲むときにはさすがにそういう飲み方はお薦めできないけれど、でもソーダやましては水でダバダバと薄めてしまうなんて、以ての外である。どうしても薄めるならせいぜい&アイス、つまりオン・ザ・ロック。量は1オンス・シングルなんてケチなことを言ってないで、せめて2オンス・ダブルで飲っていただきたいものである。

故・開高健が、自身のフィッシング・ドキュメント「河は眠らない」の中で、川の畔のキャンピングテーブルに座り、「グレン・ガリオッホ」(ゲール語本来の発音は「グレン・ギリー」となるらしいのだが、センセイはこう言ってた)というこれまたレアなスコッチのボトルを目の前に置いて、ひとくさりスコッチについて講釈を垂れた後、やにわにボトルの栓を抜いてラッパ飲み。これがまた「ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ、グビッ、グビッ、グビッ、グビッ」とおそろしく長い時間大きな音をたてて飲む。ようやくボトルから口を離して、しばらく据わった目を宙に泳がせてから、ひと言。
「ぷっはあぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」
・・・さすがセンセイ、スコッチの飲み方を心得てらっしゃる、てなもんだ。(笑

さあて、と。
今日は週末だ。
ちょっと飲りますか・・・
  


Comments:16

マロニエのこみち・・・。 06-05-13 (土) 7:12

今日は、いつにも増して、語り口が熱いですね〜〜^^
ご愛用の品々まで拝見できてうれしいです
107さんの持ち物は、一貫性とストーリー性があるので
拝見するのが楽しいですね
107さん・・・そうなんですよ〜
開高健さんのイメージ・・・あるある・・・
体型や、顔の形なども、もしかして似てらっしゃいますか?(笑)

ギャンブラー 06-05-13 (土) 10:52

私は多くの人が敬遠するような癖のある酒が大好きで、昨夜もバーでアイラのシングルモルト・ラフロイグを飲んできたばかりです。ゴクゴクというわけにはいきませんでしたけどね(笑)。あの強烈なピート香は、好きか嫌いかのどちらかですね。このスペイサイドもとっても美味しそうです。
以前、スコットランドで元英国首相とヒューム卿とフライフィッシングを楽しむ開高健の写真を見たことがあります。たしか、伝統的なチェック柄のジャケットで正装していて、さすがと思いました。
1日、幸せになりたかったら酒を飲みなさい
3日、幸せになりたかったら結婚しなさい
1週間、幸せになりたかったら豚を殺しなさい
一生、幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい
開高健と言えば、昔、彼の本でこの諺を知りましたが、とても含蓄があります。特に2行目なんか‥‥(笑)。
今日は東京も雨。『フィッシュ・オン』でも本棚から引っ張り出してきて、銀山湖でのイワナ釣りのエッセイでも読むこととしましょうか。

107 06-05-13 (土) 11:41

△ マロニエのこみち・・・さん
こんにちは。
有難うございます。
え〜〜開高さんに・・・?
10代の頃から本はたくさん読んでますので、思考回路などには大きな影響を受けていると思いますが、体型は、まだあそこまで酒膨れしてないつもりです(笑
顔も、もそっとスラリとしておりまつでつよ。
ただ、メガネは同じようなのをかけております(笑

107 06-05-13 (土) 11:54

△ ギャンブラーさん
こんにちは。
ラフロイグ <さすが!ご存知ですね。(笑
いつもいく街の馴染みのバーでは、カウンターにへばりついている酒飲みのおっさんたちの中でも、特にクセのある人は大概ラフロイグ10年のボトルを目の前にデン、と置いて、ショットグラスで酒を呷っておいでです。
ボクも日常的には飲みませんが、たまにあのヨーチン臭い味を味わいたくなって飲むことがあります。クセになりますよね。
スコットランドで開高さんがフライフィッシングをしたのは、亡くなる少し前のことでした。開高さんはずっとルアー釣りでしたから、初めて本格的にフライの世界を知ったのだと思います。亡くなられてから開高さんの身内の方から聞いたのですが、亡くなる寸前に「もっと早くフライを知って、やっておきたかった」とおっしゃっておられたようです。
開高さんのこのイギリス釣行は、ビデオにもなっていると思います。機会があれば、ぜひご覧ください。
この中国のことわざは、たしかオーパ!の巻頭でしたっけ。
2行目・・・・・・(笑
ノーコメント、とさせていただきます(爆

7wth2 06-05-13 (土) 17:14

今日は。
エッセイもギャンブラーさんのコメントも奥のあるお話で、読み応えがあります。
私の飲み物は主に日本酒ですが、ウイスキーの香りが好きで、1瓶はいつでも飲めるように、おいてあります。昔からジョニーウォカーで替えたことがありません。
酒を飲む楽しさは同じでしょうが、飲む雰囲気やグラスやチョコなどの食器の違いや、モット言えば、飲む時の衣服も違っているかも知れません。
昨今は何でもありで、焼酎に人気があるようですね。その飲み方も自分流。
これにも、受け継がれてきたのみ口の伝統はあるはずですが、昔から、何かの作法でやってきた方はどんな思いでしょうかね。
オット、これからやられるんデスね。野暮な話になりかけていました。失礼。

107 06-05-13 (土) 17:48

△ 7wth2 さん
こんにちは。
まあ、焼酎にしろスコッチにしろ、酒の飲み方なんて人それぞれの楽しみ方は様々ですから・・・楽しくお酒を飲めていればそれで良いのだろうと思います。
たとえばバーのカウンターで隣に座ったおネエさんがスコッチの水割りを飲んでいたとしても、別にどうこう思うことはないです。それに関してお話しすることはないだろう、というだけで、単に、ボク個人の心の中だけのこだわりというか、それだけのことで・・・。
「知ってる」飲み方をする人であれば、「おっ。知ってるね〜」とうれしくなってお話しするきっかけが生まれるかもしれない、ということはあります(笑
ジョニーウォーカーですか。オールド・パーと並ぶブレンデッド・モルトの代表で、上品な、いいお酒。
良いご趣味ですね^^

kitasan 06-05-13 (土) 18:54

フライの雑誌を見ると登場人物が全員同じファッション
異様に感じませんか
その疑問をフライの雑誌の編集にしたら
最新のアユファッションよりはましだろ
普段着で釣りする私には
フライマンや友釣り師のセンスを大いに疑っています(笑)

107 06-05-13 (土) 19:57

△ kitasan さん
こんばんは。
ぶぶぶっ!(爆
異様ですよね。
(身の回りに数多くそういうカッコの釣り人がいるので、あまり突っ込んで書けない・・・。)
kitasanさんも普段着で釣りされますか。ボクも、一応腰までのウェーダーだけは履いて、あとはカバンをひっかけるだけで釣りしてます。カバンの中に入ってるフライボックスは恥ずかしながら1個だけ。荷物の大半を占めるのは、飲み物、食べ物、ツマミ。(笑
でも、ラクチ〜ンです。
カッコだけが個性ではないと思いますが、でも見た目に一番分かりやすい「個性の表現」であることもまた事実で、それを意識されてない釣り人が多い、ということなのでしょうか。せっかくだから釣りのカッコももう少し個性的であっていいんではないかと思うんですが・・・。
まあ、そういう人は、バーで隣に座ったスコッチの水割りを飲むおネエさん、みたいなもので(笑)、「釣りのカッコのセンス」についてのお話しは弾まないだろうな、てなところで・・・。

Solo 06-05-14 (日) 0:36

こんにちは、107さんお酒詳しいんですね。
自分は恥ずかしながら出されたものをただ飲む専門でしてあまり詳しいことはわからないのですがいつも飲むのはビール(最近はコロナが好き)と芋焼酎、ってくらいです。
20代前半のころはバーボンとか本当に味なんかわからないのに廻りに吊られてロックで・・・その後の思い出に良いものは余りありません。
そろそろ大人のたしなみ程度にお酒を語れる知識もほしい今日この頃です。

107 06-05-14 (日) 10:41

△ Solo さん
こんにちは。
昔にバーテンをやってたことがありますので、お酒についてひと通りは勉強しました。
でも、ほとんど忘れてしまいましたが・・・(笑
若い頃はムチャな飲み方しますよね〜。
まずはご興味のあるお酒から、調べてみられたらいかがでしょうか。
お酒や銘柄によっていろんなことが分かると、面白くなってくると思います。
もっとも、ここでこんな風にウンチク語ってますが、これはまあブログのネタということで、バーのカウンターに座ってこんなことを言ってると煙たがられます(よく語ってる人を見かけますが、あまりスマートには見えないですよね)。
自分の心の中だけのこだわり、ということで、口に出して言うことは滅多にないです。

kitasan 06-05-14 (日) 11:58

本音を言うと
英国風がすべてなのですね
英国風が本物と思っているのです
フライとウィスキー ぴったりです
フライと焼酎 合いません
でも日本の川で遊ぶのですから
バッグには地酒を入れて頂きたいものですね(笑)

107 06-05-14 (日) 13:51

△ kitasan さん
最近とくにアメリカ嫌いが嵩じてきてます(笑
恥ずかしい話しになりますが、ボクの場合、正統派の英国一辺倒というワケでもなく、単にヘソ曲がりなだけという部分も多いかもしれません。
「みんながベスト着ているから違うカッコしよう」とか「みんながアメリカ製の竿を使ってるからそうじゃないものを使おう」とか。その上で、自分の美意識が許せるものを選択して使っている、というのが、率直に、正直なところです。
アメリカものでも、昔のものなんかは道具として美しいものがありますし、そういうのは大好きです。それにプラスして「遊び」も欲しいと思っていますので、ボクのプロフィールのところにあるようなリールみたいな「おちゃらけ」も大好きです(もちろん、自分の美意識の許す範囲で)。だから、みんながバブアーを着て釣りをし始めたら、また違うカッコをして釣りをしてるかもしれないなと思います。
要は、中身の伴わない軽薄な多数優位主義が嫌い、ということを自分の持ち物なりスタイルで表現したいのだと思います。どんなものでも、その本質を知った上でその物を使ってる人には、最大限の敬意を払っているつもりです。
酒は、その日の気分でなんでも飲ります。
秋の釣りで寒くなってくると、「燗熟娘」(でしたっけ?インスタントで熱燗になるワンカップ・エイヒレ付)をバッグに入れております。日本酒は、なぜか腰が抜けて立てなくなりますので、釣りに多用することは控えておりますが・・・(笑

kitasan 06-05-14 (日) 21:16

107さんを言っているのではありません
おやじ趣味がきらいなのです
自分をおじさんと言ってはばからないおやじが嫌いなのです
いつまでも青年でありたいと思っています
なにか話がとんだようですね
それはそうとして
グラフィックされているのですよね
スケッチとかデッサンとか平面作品ありませんか?
「仲間展」に出品して下さい
よろしくおねがいします

107 06-05-14 (日) 21:57

△ kitasan さん
やや。勘違いでした^^
どっちのことだろうな、と思ってたんですが、おそらく「同類」とお思いいただいての遠回しのご忠告、と受け取ってしまいました。
そうです、固まらずに柔軟でありたいと、ボクも常に心がけております。
仲間展へのお誘い、有難うございます。
なにぶん、商業広告にどっぷりと浸っておりますもので、手元には自分自身の自由な創作物というのがありません。スケッチやデッサンも、美術部だった中学のとき以来、筆と絵の具を使っておりませんので皆無です。常々、自分自身のものとして何か描きたいとは思っているのですが、日々の仕事に追われる貧乏稼業・・・(泣
でも、時間を見つけてコツコツ描いていきます。次に間に合うかどうか分かりませんが、出来上がったときはぜひ参加させてください。こちらこそよろしくお願いいたします。

kitasan 06-05-14 (日) 22:21

メール拝見しました
PCの絵で結構です
23日ぐらいまでにお送り下さい
楽しみにしています

107 06-05-15 (月) 9:13

うへぇ〜
間に合うかな〜(笑

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