Home > 釣りにまつわるよもやま | 観る視る読む | 2004年以前の釣り > 河は眠らない

河は眠らない

sekihi.jpg

彼が愛したボトルが、ぽつんと置かれてある
誰がいつ、そこに置いたのか知らない
彼の揮毫による石碑のたもとにそれはある

いつか、ここに来てみたいと思っていた
彼が愛したこの地を、この水を
己が目で確かめてみたいと思っていた

ひとつ奥の湖でロッドを振ってみる
サカナは常に釣り人との距離を等しく保ち
決して近づくことを許さない

本湖に流れ込む渓にも入る
美しい渓相とは裏腹にサカナの気配は少ない
時折、毛鉤をからかうように
すばやく帰っていく

河は、眠らないか
否、あえて彼に反して言おう
河は、眠る

眠らないのは今や原始の荒野を貫く河のみで
其処や、此処ににある河はことごとく
眠っているか、眠りかけている

ナースログもサーモンの骸もそこにはない
あるのはただ、灰色をした
破壊の代償としての無機質のみ

ここでボトルを取ることはできる
しかし欲して口にすることはない
彼の嘆きが、聞こえてくる

 
河は死なず、ただ眠るのみ
いつか世界が静かになるときまで
目覚めるのを待っているかのように

 
・・・・・街で生活し、近くに流れる河を見ていると、
ロクなことを考えない。
早く、山に行きたい。

 
*ブログを始める以前、本体HPに書いていた散文です。2010年1月にブログに転載しました。

 
 


Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://blog.studio107.jp/2005/03/306.html/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
河は眠らない from 107@BLOG

Home > 釣りにまつわるよもやま | 観る視る読む | 2004年以前の釣り > 河は眠らない

Search
RSS Feeds
Meta

Return to page top

Get Adobe Flash player