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2005-03

河は眠らない

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彼が愛したボトルが、ぽつんと置かれてある
誰がいつ、そこに置いたのか知らない
彼の揮毫による石碑のたもとにそれはある

いつか、ここに来てみたいと思っていた
彼が愛したこの地を、この水を
己が目で確かめてみたいと思っていた

ひとつ奥の湖でロッドを振ってみる
サカナは常に釣り人との距離を等しく保ち
決して近づくことを許さない

本湖に流れ込む渓にも入る
美しい渓相とは裏腹にサカナの気配は少ない
時折、毛鉤をからかうように
すばやく帰っていく

河は、眠らないか
否、あえて彼に反して言おう
河は、眠る

眠らないのは今や原始の荒野を貫く河のみで
其処や、此処ににある河はことごとく
眠っているか、眠りかけている

ナースログもサーモンの骸もそこにはない
あるのはただ、灰色をした
破壊の代償としての無機質のみ

ここでボトルを取ることはできる
しかし欲して口にすることはない
彼の嘆きが、聞こえてくる

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蜜の味

「よく釣れる渓」というのは、例えて言うなら麻薬のようなものだろう。

あんまり通いつめてはその渓の魚自体にも良い影響を与えないしゆくゆくは自分で自分の首を締めることにもなりかねないにもかかわらず、気がつけばついついそこに向かって一心不乱に深夜の高速道をひた走っていたりする。
自分で探し歩いて見つけた渓ならまだ自分自身に対して一時しのぎの言い訳がきくが、人に教えてもらった渓に自分だけ通うというようなことになると、そこに「あんまり通いつめて荒らしてはいけない」という罪悪感も生じてなお始末が悪い。その昇華作用は人により、「そこしか知らないもんね」と開き直ったり「あの渓の景色と自然が好きなんよね」と韜晦してみたりと様々だが、いずれにしてもなかなかやめようと思ってもやめられないところはやはり麻薬と同じのようである。

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星に願いを

080815M31_Lanoue.png

星が、好きである。

子供の頃から好きで、星の図鑑を飽きもせず眺めては、様々な星座や恒星、星団や星雲の名前を憶えたり、それらを実際に目で見てみたくて、お年玉を貯めて天体望遠鏡を買ったりもした。現在の子供のように1回のお年玉で何万円も稼ぎ出すような時代ではなかったし、そういう恵まれた生活環境でもなかったので、数年越しの念願であった。

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