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渓歩雑感

2002年の春は、まだ4月上旬だというのによく降る雨は「五月雨」と言ってよい風情だった。その後にはまるで梅雨に入ったかのような蒸し暑いイヤな湿気のある日が続いた。
こちら京都市内の近辺ではすでにその時期で大型のヒゲナガも飛び回っていたし、ボクの十数年来のホームグラウンドである北陸の山々も春の雪解けが早く、例年にない猛スピードでの季節の移ろいであった。

例年、4月の上旬ならまだ早春に出るグレーのメイフライ(#14サイズくらい)が精一杯な筈だが、もう赤いのやら黒いのやらクリーム色のやらが出ているんじゃないか、と、矢もタテもたまらなくなって、日本海あたりの渓でシーズン最初のヤマメちゃんご対面、と洒落こんでみたが、空気は5月盛期、地面と水面は4月末、水中は4月中頃、てな気配でややこしいことになっており、当然ムシは一応気の早いのが出てはいるものの散発にチラホラと舞っているだけで、サカナも気の早い経験不足のコギャルしか出てきてくれない。きれいなお年頃のお姉さんたちはまだ気配すら見せず、夕マヅメまで粘ってみたもののライズのラの字も見い出すことはできなかった。

こりゃ難しいシーズンになりそうだな〜、交通事故的に偶然いい季節と時間に当たることを願うのみだぞ〜、などとブツブツ言いながらも、出てきてくれたコギャルのそれでも早熟にムッチリとふくらんだナイスバディを見ていると何だかシアワセになってきて、思わず座り込んでビールを開けてしまうのだった。

NZの釣り
NZ南島のトラウト・パラダイス。緑があふれ空は高く山には威厳が満ち、清冽な流れには暴力的な野生を秘めた巨大なマスが棲む。フライフィッシャーにとって地上の楽園である。
それで話はいきなり地球規模になってしまうのだが、毎年毎年、暖冬、猛暑とニュースもかわりばえせず「温暖化」だの「エル・ニーニョ」だの「ラ・ニャーニャ」だの聞いていると麻痺してしまっている感があるのだが、確実に環境は変わりつつあるのだと思う。しかも数10億年という地球の歴史時間から考えると、「劇的急激な変化」と言って差支えないほどの激変ぶりである。顧みて昨年の「猛暑」だった夏の夕立、あれらは子供のころから記憶している「夕立」とは根本的にその性質が異なるような気がしていたのだが、そんな感想をお持ちの方々も多いのではなかろうか?

そう、何かと言うと、熱帯、亜熱帯の「スコール」である。近年はそれによる水害も多いようであるし、都市の排水機能があのようなスコール状の大雨を想定していないために起るようである。

「温暖化」防止のためには何が、という議論はさておき(ペシミストの発想だと全人類が呼吸をしなくなればたちどころにこの問題は解決する、ということになるらしいのだが)、議論している間にも渓は掘り返され、コンクリートで固められ、周辺の緑は刈り取られ伐採されて見るも無惨な様相になる。政治家と地元業者との利権のからみ合った公共工事に対して、ボクたち釣り人はあまりに無力である。

一昨年、大好きだった渓がひとつ、確実にとどめをさされた。前の総理大臣の出身地にほど近いその渓は、古くなって使えなくなった(と国土交通省が主張する)ダムの上流側にさらにひと周り大きいダムを新調され、三面護岸のコンクリートで固められ、林道を拡充されて舗装され、道の両側もコンクリートで固められてその上に薄く土をひいて雑草の種を植え付けられ、「緑豊かな◯◯県」とにぎにぎしい横断垂れ幕を掲げられるという世界最高のナンセンスぶりである。
悲しみを通り越して何も感想が浮かばない、ただただ口をあんぐりと開けて見ることの他に何もできないほどの、徹底した破壊ぶりであった。

ご存知のように、植物というのは日光を浴びて光合成をすることで二酸化炭素を吸収し酸素を排出する。緑をたくさん増やせば二酸化炭素による温室効果が減少し、温暖化の歯止めになりうる実に簡単で有効な手段だと思うのだが。せっかく京都議定書というものがありそれの発効が間近に迫っているというのに国の対応は遅々として進まないのは何故だろう?

林道を歩いているとよく「農水省管理水源かん養林」という看板に出くわす。農水省のお役人の方々には、渓や林道を人工物で固めて直線化するのは治水にとってむしろ逆効果だということがまだ理解できないらしい硬直した思考回路の国土交通省の破壊魔どもに負けないで、少なくとも水源かん養林だけは守りとおしていただきたいものである。山にはもうこれ以上道路は要りません(でも間伐など森林の手入れはちゃんとしてね)。

*ブログを始める以前、本体HPで書いていた散文です。2010年1月にブログに転載しました。

 
 


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